近年、「完全栄養食」としても話題の玄米。しかし、玄米と白米とでは一体何が違うのか、ご存じない方も多いでしょう。
玄米とは、米の外皮(籾殻:もみがら)のみを取り除いた精白されていない生の状態のお米のことで、白米とは玄米から更に糠(ぬか)や胚芽を除去し、精白加工された状態のお米を指します。
玄米には、精白の過程で取り除かれる糠や胚芽が残っているため、独特の風味や硬い食感がありますが、白米よりも栄養価が高いのが特徴です。一方、私たちの主食として馴染み深い白米は、白くつやつやした外観で、食感もふっくらとしていますが、精白されている分、玄米より栄養価では劣ります。
このように、玄米と白米は栄養素や消化の仕方が大きく異なります。ダイエットや健康を意識する上で、その違いを理解することが重要になってきます。この記事では、そんな玄米と白米の違いについて詳しく解説します!
栄養価の違い
玄米と白米では、栄養価に大きな違いがあります。玄米は、米の外側の硬い殻(籾殻)を取り除いただけの状態で、ビタミンB1、食物繊維、たんぱく質、ミネラルなどを豊富に含んでいます。一方、白米は更に玄米の外側の赤みがかった種皮と胚芽を取り除いた状態なので、これらの栄養素が失われています。
具体的な栄養素の違いは以下の通りです。
栄養素 | 玄米(150gあたり) | 白米(150gあたり) |
---|---|---|
ビタミンB1 | 0.24mg | 0.03mg |
食物繊維 | 2.1g | 0.5g |
たんぱく質 | 4.2g | 3.8g |
マグネシウム | 73.5mg | 10.5mg |
このように、玄米は白米に比べ栄養素が豊富であることが特徴です。
さらに、玄米には以下のような栄養素も豊富に含まれており、健康や美容への効果が期待されています。
栄養素 | 主な働き |
---|---|
γ-オリザノール | 動脈硬化の予防や血糖値の上昇抑制に役立つ |
フェルラ酸 | 抗酸化作用があり、脳機能の改善が期待される |
GABA | 血圧の低下、睡眠の質向上、ストレス軽減などの作用が報告されている |
消化吸収の違い
玄米は白米よりも食物繊維が豊富です。この豊富な食物繊維により、玄米は消化・吸収がゆっくりであるという特徴があります。
食物繊維を十分に摂取することは満腹感を持続させたり血糖値の急上昇を抑えたりするため、肥満や生活習慣病のリスクを低減させる効果が期待できます。一方消化に時間がかかることで、人によってはお腹の張りを感じる場合もあります。
カロリー・糖質量の違い
玄米と白米のカロリー・糖質量には大きな違いがあります。
カロリー(100g当たり) | 糖質量(100g当たり) | |
---|---|---|
玄米 | 152kcal | 35.1g |
白米 | 156kcal | 38.1g |
玄米は白米に比べてカロリーが若干少なめですが、大きな差はありません。一方で糖質量は白米の方が高くなっています。したがって、糖質制限ダイエットを行う場合は玄米の方が有利だといえます。
ダイエットには玄米の方がおすすめ!
ダイエット中であれば、玄米を選ぶことをおすすめします。その理由は主に以下の3点です。
- 消化が遅く、満腹感が長続きする
- 食物繊維が多く含まれており、カロリーが低い
- ダイエット中に不足しがちな栄養素を補える
玄米は白米に比べ消化に時間がかかります。そのため満腹感が長続きしやすく、食べ過ぎを防げるほか、血糖値の上昇が緩やかになり脂肪の蓄積も防げるでしょう。
また、玄米には白米に比べて、食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維には腸内環境を整える作用があり、便通を良くする働きも期待できます。
いつものご飯を、白米から玄米に置き換えるだけでも、体に必要な栄養素を補いながら効率よくスリムアップを目指すことができるでしょう。
玄米を美味しく炊くポイント
ここからは、玄米を美味しく炊くポイントを紹介します。
下準備
玄米を美味しく炊くには、適切な下準備が欠かせません。まず、玄米は白米に比べてカビやゴミが付着しやすいので、しっかりと水洗いをしましょう。
次に、玄米は白米より硬いので浸水時間を長めに取る必要があります。必要な浸漬時間は5~6時間ですが、余裕があれば以下の時間を目安にしてみてください。
時期 | 浸水時間 |
---|---|
夏場 | 8時間 |
冬場 | 12時間 |
一晩浸水させても問題ありません。また、玄米は浸水することで柔らかくなり、炊きあがりが良くなります。
浸水後は、水切りをしっかりと行いましょう。水切りが不十分だと、加熱時に玄米が割れたり、ベタついた食感になってしまう可能性があります。水切りネットなどを使うと便利です。
このように、適切な下準備を行えば、香り高く柔らかい美味しい玄米が炊けます。
玄米の研ぎ方
玄米は白米に比べて栄養価が高く、ダイエットにも適しています。ただし、その分硬くて歯ごたえがあり、炊きあがりが上手くいかないと硬すぎて食べづらくなる可能性があります。そこで、玄米を美味しく炊くためには、適切な「研ぎ方」が重要になってきます。
玄米は外側の硬い殻が付いているため、下準備として以下の手順で研ぐ必要があります。
- 玄米を水につける
- 手のひらで優しく擦る
- ざるに取り分け、水を切る
このように、玄米は白米に比べて硬い殻があるため、あらかじめ水に十分つけて柔らかくする必要があります。水に長時間つけておくことで、玄米の表面が柔らかくなり、加熱時に中まで美味しく炊きあがりやすくなります。
炊飯器の選び方
もっと手軽に玄米を美味しく炊きたいという方は、玄米コース(玄米モード)のある炊飯器がおすすめです。玄米コースでは低火力でじっくりと時間をかけて炊飯します。通常のコースよりも時間はかかりますが、より美味しい玄米ご飯を味わえるでしょう。
まとめ
今回は、玄米と白米の違いを栄養価、消化吸収、カロリー・糖質量の観点から解説してきました。
玄米は食物繊維や各種ビタミン、ミネラルが豊富なうえ、消化に時間がかかるため血糖値の急上昇を抑えられます。
つまり、ダイエット中は玄米を選ぶと、満腹感が持続し過剰な糖分摂取を抑えられます。美味しく食べるには、玄米を十分に研ぎ、炊飯器の専用モードを使って柔らかく炊くことがポイントです。栄養価と満腹感を兼ね備えた玄米は、ダイエットに最適な食材とえるでしょう。